レトロファンシーとは昭和と平成のかわいい雑貨
レトロファンシーは、昭和後期から平成前半に文具や雑貨で親しまれた、かわいいキャラクターグッズの雰囲気を指す言葉です。決まった定義がないため、この記事では1970年代半ばから2000年代半ばのファンシーグッズを指して使います。
辞書にない言葉で懐かしいファンシーを指す
レトロファンシーは、国語辞典に定義のある言葉ではなく、人によって思い浮かべる時代が少しずつ違う言葉です。土台になる「ファンシー」は、デジタル大辞泉で「装飾的で意匠を凝らしたさま」と説明されています。
ファンシーグッズについての精選版日本国語大辞典の説明は、「趣味的で夢のあるかわいらしい雑貨・小物類」です。レトロファンシーは、こうした雑貨の中でも、今では懐かしく見える時代のものを指すと考えると分かりやすくなります。
ファンシーグッズという言葉は明治末からある
ファンシーグッズという言葉自体は、新しいものではありません。精選版日本国語大辞典は、1912年の『舶来語便覧』を用例の出典に挙げています。
文化としての始まりも古く、東京の弥生美術館は2012年の展覧会で、竹久夢二が1914年に開いた「港屋絵草紙店」をファンシーグッズの元祖と位置づけました。サンリオが1971年に新宿で開いた直営店「ギフトゲート」は、今のサンリオショップの1号店です。言葉、文化、売り方のどれの始まりかで答えが変わるので、分けて話すと混乱しません。
昭和レトロ・平成レトロとは品の年で分ける
レトロファンシーには、昭和生まれの品と平成生まれの品の両方が含まれます。SHIBUYA109 lab.の長田麻衣所長は、若者はレトロを年代で厳密に分けるのではなく、モノごとに時代を見分けて楽しんでいると述べています。
長田所長によると、喫茶店のクリームソーダなど昭和レトロから始まったブームが、2019年のギャル雑誌『egg』の復刊をきっかけに平成レトロへ広がりました。この記事でも、キャラクターや品ごとに生まれた年を添えて、昭和寄りか平成寄りかが分かるようにしています。
昭和に生まれたレトロファンシーのキャラクター
昭和のレトロファンシーを代表するのは、1970年代に生まれたサンリオのキャラクターと、文具会社や雑貨ブランドが1980年代までに送り出したキャラクターです。ここでは、売り方や発想に特徴があった3つのキャラクターと、1つの雑貨ブランドを紹介します。
このほかにも、昭和には次のようなキャラクターが生まれています。
表が画面に収まらないときは、左右にスクロールできます。キーボードでは表を選び、左右の矢印キーで動かせます。
| キャラクター | デビュー年 | 会社 |
|---|---|---|
| マイメロディ | 1975年 | サンリオ |
| タキシードサム | 1979年 | サンリオ |
| ペンシルクラブ | 1984年 | サンエックス |
| ハンギョドン | 1985年 | サンリオ |
| ピニームー | 1987年 | サンエックス |
| けろけろけろっぴ | 1988年 | サンリオ |
デビュー年は、各社の公式プロフィールと沿革の表記です。
ハローキティとキキララ|1970年代のサンリオ
サンリオは1974年にハローキティを生み出し、1975年に最初の商品「プチパース」を発売しました。同じ1975年には、双子の星の子リトルツインスターズ(キキララ)も誕生しています。
サンリオはそれより前の1962年に、いちごのデザインを付けたギフト商品を出し、1971年には新宿に直営店「ギフトゲート」を開きました。かわいい絵柄の雑貨を専門の店で売り、1976年からはキャラクターの使用を他社に許す仕事も始めています。2024〜2025年に東京国立博物館で開かれたHello Kitty展では、50年分のグッズ1,000点以上が並びました。
ロンピッシュクラウン|サンエックスの初キャラ
サンエックスは1932年に創業した文具の会社で、1979年に初めてのキャラクター「ロンピッシュクラウン」が誕生しています。2022年の90周年展では、このキャラクターのペンケースが展示されました。
同社の顧問は、自社でキャラクターを生み出せば文具に付けるだけでなく、お菓子など他の業種にも使ってもらえると話しています。文具の会社がキャラクターを作るこの形の延長に、のちのたれぱんだやリラックマがあります。
タマ&フレンズ|1983年の迷い猫ポスター
タマ&フレンズは、ソニー・クリエイティブプロダクツが1983年に生み出したキャラクターで、正式な名前は「タマ&フレンズ〜うちのタマ知りませんか?〜」です。いなくなった飼い猫を探すポスターを商品のデザインにした発想で人気を集めました。
JAF Mateの2022年の記事によると、その人気は小学校のドリルや裁縫箱、小児科の診察券や薬袋にまで広がりました。今も漢字や計算のドリルに使われていて、子どものころに知らなかった世代も目にする機会があります。絵柄そのものに「迷い猫を探す」という物語を持たせた点が、このキャラクターの特徴です。
SWIMMER|1987年からのレトロ雑貨ブランド
SWIMMERは、1987年から約30年にわたって人気を集めた雑貨ブランドで、動物やスイーツのモチーフが特徴です。2018年にいったん展開を終えましたが、2020年に株式会社パティズが復活させました。
2026年8月21日〜9月6日には、イラストレーターの水森亜土とのコラボグッズの先行受注が行われました。当時からのファンと新しいファンの両方に支持されていて、当時物と新作を見比べる楽しみ方もできます。
平成に生まれたレトロファンシーのキャラクター
平成に入ると、サンリオに加えてサンエックスのキャラクターが次々に生まれ、ゆるい表情や少し後ろ向きな性格も魅力になりました。2020年代の平成レトロのブームでは、こうしたキャラクターの新しい商品も出ています。
このほかにも、平成には次のようなキャラクターが生まれています。
表が画面に収まらないときは、左右にスクロールできます。キーボードでは表を選び、左右の矢印キーで動かせます。
| キャラクター | デビュー年 | 会社 |
|---|---|---|
| エスパークス | 1989年 | サンエックス |
| ミックスドキャッツ | 1992年 | サンエックス |
| にゃんにゃんにゃんこ | 2000年 | サンエックス |
| シナモロール | 2002年 | サンリオ |
| リラックマ | 2003年 | サンエックス |
| まめゴマ | 2005年 | サンエックス |
| クロミ | 2005年 | サンリオ |
シナモロールの2002年は、初めてグッズが発売された年です。キャラクターそのものは2001年に作られました。
バッドばつ丸とポムポムプリン|90年代サンリオ
平成のサンリオを代表するのが、1993年デビューのバッドばつ丸と、1996年デビューのポムポムプリンです。ばつ丸は白黒の配色と強気な目つき、プリンは黄色い体とこげ茶色のベレー帽が目印です。
どちらも文具やポーチ、ぬいぐるみなど、学校と家で使う品に広く展開されました。見分けの手がかりは、バッドばつ丸の図鑑ページとポムポムプリンの図鑑ページで確かめられます。
たれぱんだ|1998年のサンエックスの人気者
たれぱんだは、サンエックスが1998年に送り出した、力の抜けた表情で横たわる白黒のパンダです。力の抜けたポーズが、文具や日用品を選ぶときの目印になりました。
サンエックスの担当者は、たれぱんだやリラックマの人気について、誰もが持つ後ろ向きな気持ちが共感につながるのではないかと説明しています。詳しい見分け方はたれぱんだの図鑑ページにまとめています。
こげぱんとアフロ犬|2000年代初めの定番
2000年にはこげぱん、2001年にはアフロ犬がサンエックスからデビューしました。焦げた焼き色のあんパンのこげぱんと、大きなアフロの犬のアフロ犬は、シールや文具など持ち歩いて集めるグッズで親しまれました。
2025年12月上旬からは、サンエックスの公式ネットショップで、たれぱんだ、こげぱん、アフロ犬、にゃんにゃんにゃんこの新しいコインケースやバッジ(ライセンス商品)が売られています。懐かしさを感じるデザインの新商品なので、気軽に取り入れたい人に向いています。こげぱんとアフロ犬の図鑑ページもあわせてどうぞ。
平成ファンシー|カンペンやラメのリバイバル
平成のファンシー文具は、「平成ファンシー」として売り場の企画名にもなっています。2025年9月に有楽町マルイで開かれた「平成ファンシー大集合! POPUP SHOP in OIOI」では、カミオジャパンとCRUXのぷくぷくあわわちゃんやハッピーマーチなどの新商品が売られました。
この催しでは、カンペン、ウォーターインシール、ラメ入りスライドミラー、お札メモといった平成当時の品のリバイバル商品も並びました。2026年には博多マルイや町田モディでも開かれ、平成ファンシーは期間限定の催しで出会える機会が増えています。
レトロファンシーの品の種類とモチーフ
レトロファンシーの品は、毎日学校に持って行く文具と、集めて友だちと交換するシールが中心です。いちごや動物、パステルカラーといったモチーフも、当時の雰囲気を作る大事な要素でした。
缶ペンケースや香り付き消しゴムなどの文具
1980年代のファンシー文具には、缶ペンケース、香り付きやミルク瓶の形の消しゴム、香り付きや星形の鉛筆、ポケットティッシュ、回覧できる作りのメモ帳などがありました。昭和的ガーリー文化研究所のゆかしなもん所長は、70年代の動きが潮目となり、80年代のファンシーグッズの大ブームにつながったと話しています。
80年代は「キャラ戦国時代」とも呼ばれ、各社が新しいキャラクターを次々に出しました。平成の文具の移り変わりは、文房具の図鑑で品ごとにたどれます。
シール交換とシール帳の思い出
平成のレトロファンシーで欠かせないのが、シールを集めて友だちと交換する遊びです。手持ちのシールを見せ合い、欲しい柄と枚数を相談して交換し、シール帳に貼って楽しみました。
この遊びは2020年代に再び広がっています。日本インフォメーションが2026年3月に13〜39歳の女性1,054人へネットで聞いた調査で、平成レトロの楽しみ方を尋ねた質問では「シール帳・シル活」を選んだ人が39.5%でした。交換のしかたや当時の様子は、シール交換とシール帳の図鑑ページで確かめられます。
いちご・動物・パステルカラーのモチーフ
レトロファンシーらしさは、絵柄のモチーフにもよく表れます。サンリオのオリジナルデザインの第1号は1962年の「いちご」で、雑貨ブランドのSWIMMERは動物やスイーツのモチーフを特徴にしていました。
ソニー・クリエイティブプロダクツの1970〜80年代のキャラクターを紹介した記事では、当時はパステル調のかわいいグッズが主流だったとされています。ハローキティのグッズでも、80年代のモノトーン調や90年代のキルティング柄のように、時代ごとに流行りの柄が変わりました。
観光地で売られたファンシー絵みやげ
レトロファンシーは文具店の中だけのものではありません。1980〜90年代の観光地では、漫画風のイラストを描いた子ども向けの雑貨みやげが売られていて、平成レトロを提唱する山下メロさんはこれを「ファンシー絵みやげ」と名付けました。
山下さんによると、最大の特徴は実用性で、とくにキーホルダーが多かったといいます。はっきりした呼び名がなかったことが、記憶から消えかけた理由だろうとも述べています。名前と年代を付けて記録していくと、こうした品も思い出として語りやすくなるはずです。
当時物と復刻品の選び方と注意点
思い出の品そのものが欲しいなら当時物、今の暮らしで気軽に使いたいなら公式の復刻品や新作を選ぶと失敗が少なくなります。どちらを選ぶ場合も、品の状態と売っている相手を先に確かめることが大切です。
当時物は劣化と出品者の説明を確かめる
当時物は作られてから長い年月がたっているため、プラスチックやゴムが傷んでいる場合も珍しくありません。カナダ政府の文化財保存研究所の保存ガイドは、プラスチックやゴムが時間とともに硬くなる、ひび割れる、べたつく、色が変わるといった変化を挙げています。
フリマサービスで買う場合、国民生活センターは、トラブルは原則として当事者同士で解決が求められると注意しています。気になる点は買う前に出品者へ質問し、においやべたつき、付属品の有無まで確かめておくと安心です。手元に届いた後は、涼しく暗く乾いた場所で保管すると傷みにくくなります。
復刻品や新作は公式の販売先で探す
公式の復刻品や新作は、状態の心配が少なく、使う前提で選べるのが利点です。サンエックスの公式ネットショップ、SWIMMERの公式の販売、平成ファンシーの期間限定ショップのように、メーカーや公式の窓口で買えるものが増えています。
日本インフォメーションが2026年3月に13〜39歳の女性1,054人へネットで聞いた調査では、食品や日用品の平成レトロ風のパッケージのうち「復刻版パッケージ」の商品を買いたいと答えた人が38.8%、30代では48.4%でした。公式の復刻品や新作は、状態の心配が少なく公式の窓口で買えるので、はじめの1つにも選びやすいはずです。
人気の品は模倣品と高値の転売に注意
人気が出た品には、模倣品や高値の転売が出やすくなります。マネーポストWEBは2026年7月、人気のシールで模倣品や類似品が大量に出回ったと伝え、ブームの最中には400〜500円ほどのシールがネットで2〜3倍の値段で売られていたという保護者の声も紹介しました。同じ記事は、今は一部で値崩れが起きているとも伝えています。
財務省によると、キャラクターグッズなど著作権を侵害する品を税関で輸入差し止めにした件数は、2025年に1,746件で、前年より26.5%増えました。国民生活センターは、フリマサイトの画像や文言を流用した悪質な通販サイトや、コード決済で個人あてに払わせる手口にも注意を呼びかけています。値段が安すぎる品や、支払い方法が不自然な店は避け、販売元を確かめてから買いましょう。
まとめ
レトロファンシーは辞書に定義のない言葉で、1970年代半ばから2000年代半ばのかわいいキャラクター雑貨の雰囲気を指します。サンリオやサンエックスのキャラクターには公式のデビュー年があるので、年を見れば昭和寄りか平成寄りかの見分けがつくでしょう。
集めるなら、思い出の品そのものは当時物、気軽に使いたいものは公式の復刻品や新作が向いています。まずは気になるキャラクターの公式ショップで、今買える商品を確かめてみてください。
目次へ戻る参考資料
- コトバンク「ファンシー」別タブで開く
- コトバンク「ファンシーグッズ」別タブで開く
- artscape レビュー「大正から始まった日本のkawaii展」(2012年6月1日号)別タブで開く
- サンリオ「サンリオのあゆみ」別タブで開く
- サンリオ「ハローキティ」別タブで開く
- サンリオ「リトルツインスターズ」別タブで開く
- サンリオ「マイメロディ」別タブで開く
- サンリオ「タキシードサム」別タブで開く
- サンリオ「ハンギョドン」別タブで開く
- サンリオ「けろけろけろっぴ」別タブで開く
- サンリオ「バッドばつ丸」別タブで開く
- サンリオ「ポムポムプリン」別タブで開く
- サンリオ「シナモロール」別タブで開く
- サンリオ「クロミ」別タブで開く
- サンエックス「あゆみ」別タブで開く
- 北海道新聞デジタル「サンエックス90周年展」(2022年11月5日)別タブで開く
- デイリースポーツ「サンエックス90周年展」(2023年8月24日)別タブで開く
- ソニー・クリエイティブプロダクツ「取り扱いキャラクター」別タブで開く
- ウォーカープラス(2024年11月22日)別タブで開く
- ソニー・クリエイティブプロダクツ プレスリリース「水森亜土×SWIMMER」別タブで開く
- ソフトバンクニュース「大正・昭和・平成のレトロブーム」(2024年2月21日)別タブで開く
- Impress Watch「Hello Kitty展」開幕レポート別タブで開く
- JAF Mate「昭和ファンシーグッズ」(2022年5月6日)別タブで開く
- JAF Mate「昭和ファンシー文具」(2022年5月7日)別タブで開く
- KAI-YOU「平成ファンシー大集合! POPUP SHOP in OIOI」別タブで開く
- アニメ!アニメ!(ハピネット・メディアマーケティング発表、2026年5月1日)別タブで開く
- ネットショップ担当者フォーラム(アイピーフォー発表、2025年12月8日)別タブで開く
- PR TIMES(日本インフォメーション)平成レトロに関する意識実態調査(2026年5月12日)別タブで開く
- PR TIMES(大丸松坂屋百貨店)NEO平成レトロ展 神戸展(2026年4月15日)別タブで開く
- サンリオ ニュース(2026年7月8日)別タブで開く
- 日刊ゲンダイ DIGITAL『ファンシー絵みやげ天国』書評(2024年5月1日)別タブで開く
- Canadian Conservation Institute「Care of Objects Made from Rubber and Plastic」別タブで開く
- 国民生活センター「フリマサービスのトラブルに注意!」(2025年9月2日)別タブで開く
- 国民生活センター「悪質通販サイトにご注意ください」(2026年6月17日)別タブで開く
- マネーポストWEB(2026年7月)別タブで開く
- 財務省「令和7年の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)」別タブで開く
個別の品やサービスの発売時期は、各図鑑ページで項目ごとに出典を示します。
目次へ戻る