1990年代のヒット曲を知る3つの物差し

1990年代のヒット曲は、どの記録で測るかによって顔ぶれが少し違ってくるものです。年の範囲と、売上や受賞の記録の違いを先に押さえておくと、思い出の曲を正しく確かめられます。

1990年代は平成2年から平成11年まで

1990年代は1990〜1999年で、和暦では平成2年から平成11年です。日本レコード大賞の公式記録も「1990年(平成2年)」のように、西暦と和暦を並べて書いています。

この10年は、シングルのミリオンセラーが特に多かった時期です。日本レコード協会の60周年記念誌によると、シングルのミリオン認定は1995年と1996年に23作品ずつあり、1999年には10作品に減りました。

枚数は数え方によって出典ごとに違う

ヒットの大きさを示す枚数は、出典ごとに数え方が違います。日本レコード協会のゴールドディスク認定はお店への出荷枚数から返品を引いた数、日本ゴールドディスク大賞は正味の売上実績、オリコンは推定売上枚数をもとにしています。

日本レコード大賞は売上ではなく審査で選ぶ賞で、売上の1位と一致しない年もありました。たとえば1993年の大賞は香西かおりさんの「無言坂」でしたが、同じ年の売上でゴールドディスク大賞のグランプリ・シングル賞に選ばれたのは、CHAGE & ASKAの「YAH YAH YAH」でした。

何年の曲かは発売日で確かめる

同じ曲でも、発売した年と売れた年、賞を取った年がずれることがあります。KANさんの「愛は勝つ」は1990年9月1日の発売で、ゴールドディスク大賞では1990年分の賞を受け、日本レコード大賞では1991年のポップス・ロック部門の大賞に選ばれました。

本記事では、発売日で年を分けて曲を紹介します。枚数を書くときは、どの記録の数字かを添えています。

目次へ戻る

1990〜1994年の代表的なヒット曲

1990年代前半は、テレビドラマの主題歌が次々にミリオンセラーになった時期です。日本ゴールドディスク大賞でシングルの最高賞に選ばれた曲も、1991年分から1994年分まではすべてドラマの主題歌でした。

1990〜1994年に発売された主な曲と記録は、次のとおりです。

1990〜1994年の代表的なヒット曲の一覧

表が画面に収まらないときは、左右にスクロールできます。キーボードでは表を選び、左右の矢印キーで動かせます。

1990〜1994年の代表的なヒット曲の一覧
発売年曲名/歌手主な記録
1990年おどるポンポコリン/B.B.クィーンズ日本レコード大賞ポップス・ロック部門
1990年愛は勝つ/KAN1991年の日本レコード大賞ポップス・ロック部門
1991年Oh! Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に/小田和正レコード協会の認定で邦盤シングル初の2ミリオン
1991年SAY YES/CHAGE & ASKAゴールドディスク大賞グランプリ・シングル賞
1992年君がいるだけで/米米CLUB日本レコード大賞ポップス・ロック部門とグランプリ・シングル賞
1992年涙のキッス/サザンオールスターズゴールドディスク大賞ベスト5シングル賞
1993年YAH YAH YAH/CHAGE & ASKAゴールドディスク大賞グランプリ・シングル賞
1993年負けないで/ZARDゴールドディスク大賞ベスト5シングル賞
1994年innocent world/Mr.Children日本レコード大賞
1994年Tomorrow never knows/Mr.Childrenゴールドディスク大賞グランプリ・シングル賞

ゴールドディスク大賞は、翌年に前年1年間の売上実績をもとに選ばれています。

1990年|おどるポンポコリンと愛は勝つ

1990年4月4日発売のB.B.クィーンズ「おどるポンポコリン」は、フジテレビ系アニメ「ちびまる子ちゃん」のエンディング・テーマです。第32回日本レコード大賞でポップス・ロック部門の大賞に選ばれ、ゴールドディスク大賞では1990年分のグランプリ・シングル賞を受けました。

同じ年の9月1日には、KANさんの「愛は勝つ」が発売されています。米米CLUBの「浪漫飛行」も1990年4月の発売で、日本航空の沖縄キャンペーンのCMソングでした。

1991年|ドラマ主題歌が認定で初の2ミリオン

1991年2月6日発売の小田和正さん「Oh! Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に」は、同年3月に邦盤シングルで初めて2ミリオンに認定されました。日本レコード協会の記念誌は、フジテレビ系ドラマ「東京ラブストーリー」の主題歌として爆発的にヒットしたと振り返っています。

7月24日発売のCHAGE & ASKA「SAY YES」は、フジテレビ系ドラマ「101回目のプロポーズ」の主題歌です。ゴールドディスク大賞が公表した売上(Total sales)は2,731,693枚でした。

1992年|君がいるだけでと涙のキッス

1992年5月4日発売の米米CLUB「君がいるだけで」は、フジテレビ系ドラマ「素顔のままで」の主題歌でした。第34回日本レコード大賞でポップス・ロック部門の大賞に選ばれ、ゴールドディスク大賞でも1992年分のグランプリ・シングル賞を受けています。

7月18日発売のサザンオールスターズ「涙のキッス」は、TBS系ドラマ「ずっとあなたが好きだった」のテーマ・ソングです。10月28日には、中山美穂&WANDSの「世界中の誰よりきっと」も発売されました。

1993年|YAH YAH YAHと負けないで

1993年3月3日発売のCHAGE & ASKA「YAH YAH YAH」は、フジテレビ系ドラマ「振り返れば奴がいる」の主題歌です。ゴールドディスク大賞では、1993年分のグランプリ・シングル賞に選ばれました。

1月27日発売のZARD「負けないで」もドラマのエンディング・テーマでした。3月17日にはB'z「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」、12月1日には「Alpen」のCMソングだった広瀬香美さんの「ロマンスの神様」が発売されています。

1994年|Mr.Childrenが2曲ヒット

1994年は、Mr.Childrenのシングル2曲が大きな記録を残しました。6月1日発売の「innocent world」は日本コカ・コーラのCMソングで、第36回日本レコード大賞に選ばれています。

11月10日発売の「Tomorrow never knows」は、フジテレビ系ドラマ「若者のすべて」の主題歌で、ゴールドディスク大賞の1994年分のグランプリ・シングル賞を受けました。6月8日発売のWANDS「世界が終るまでは…」は、テレビ朝日系アニメ「スラムダンク」のエンディング・テーマです。

目次へ戻る

1995〜1999年の代表的なヒット曲

1990年代後半は、小室哲哉さんのプロデュース曲やバンドの曲が並び、シングルのミリオンが最も多い時期を迎えました。1998年末からは宇多田ヒカルさんも登場し、時代の変わり目になりました。

1995〜1999年に発売された主な曲と記録は、次のとおりです。

1995〜1999年の代表的なヒット曲の一覧

表が画面に収まらないときは、左右にスクロールできます。キーボードでは表を選び、左右の矢印キーで動かせます。

1995〜1999年の代表的なヒット曲の一覧
発売年曲名/歌手主な記録
1995年LOVE LOVE LOVE/DREAMS COME TRUEゴールドディスク大賞グランプリ・シングル賞
1995年OVERNIGHT SENSATION〜時代はあなたに委ねてる〜/trf日本レコード大賞
1996年名もなき詩/Mr.Childrenゴールドディスク大賞グランプリ・シングル賞
1996年Don't wanna cry/安室奈美恵日本レコード大賞
1997年CAN YOU CELEBRATE?/安室奈美恵日本レコード大賞を2年連続
1997年HOWEVER/GLAY日本レコード大賞優秀作品賞
1998年夜空ノムコウ/SMAPゴールドディスク大賞ソング・オブ・ザ・イヤー特別賞
1998年長い間/Kiroro日本レコード大賞優秀作品賞
1999年だんご3兄弟/速水けんたろう、茂森あゆみ ほかレコード協会の認定で邦盤シングル初の3ミリオン
1999年Winter, again/GLAY日本レコード大賞
1999年LOVEマシーン/モーニング娘。つんくさんが日本レコード大賞作曲賞

ゴールドディスク大賞の1997年分と1998年分(第12・13回)は、売上ではなく投票で選ばれています。

1995年|LOVE LOVE LOVEとtrf

1995年7月24日発売のDREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」は、TBS系のドラマの主題歌です。ゴールドディスク大賞では1995年分のグランプリ・シングル賞に選ばれ、公表された売上は2,232,977枚でした。

3月8日発売のtrf「OVERNIGHT SENSATION〜時代はあなたに委ねてる〜」は、本田技研工業「ライブ Dio」のCMソングで、第37回日本レコード大賞を受けました。3月15日発売のH Jungle With t「WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント」は、フジテレビ系「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」のテーマ曲です。

1996年|名もなき詩と安室奈美恵

1996年2月5日発売のMr.Children「名もなき詩」は、フジテレビ系ドラマ「ピュア」の主題歌です。ゴールドディスク大賞の1996年分のグランプリ・シングル賞に選ばれ、日本レコード協会は1996年を「23曲もミリオンヒット(シングル)が続出した年」として、その代表に挙げています。

3月13日発売の安室奈美恵さん「Don't wanna cry」は第38回日本レコード大賞を受け、主催者の記録ではソロ歌手として最年少の19歳3カ月での受賞でした。4月10日にはスピッツの「チェリー」も発売されています。

1997年|CAN YOU CELEBRATE?

1997年2月19日発売の安室奈美恵さん「CAN YOU CELEBRATE?」は、フジテレビ系ドラマ「バージンロード」の主題歌です。第39回日本レコード大賞を受け、2年続けての大賞となりました。

8月6日発売のGLAY「HOWEVER」は、TBS系ドラマ「略奪愛・アブない女」の主題歌で、同じ年の日本レコード大賞で優秀作品賞に選ばれています。日本レコード協会の記念誌によると、この年は小室哲哉さんが手がけた4曲がミリオンシングルに認定されました。 川本真琴の曲を探すときは、1/2の1997年発売・別曲1・カバーの違いも目印になります。

1998年|夜空ノムコウと長い間

1998年1月14日発売のSMAP「夜空ノムコウ」は、フジテレビ系「SMAP×SMAP」のテーマ・ソングです。日本レコード協会の記念誌は、デビュー7年目で初めて157万枚に達した曲として紹介しています。

1月21日発売のKiroro「長い間」は第40回日本レコード大賞の優秀作品賞に選ばれ、作曲した玉城千春さんは作曲賞を受けました。日本レコード協会は1998年を史上最高の売り上げを記録した年とし、この年はシングル20タイトルがミリオンセラーになったとしています。

1999年|だんご3兄弟とFirst Love

1999年3月3日発売の「だんご3兄弟」は、NHK「おかあさんといっしょ」で放送された歌がシングルになったもので、同じ3月に邦盤シングル初の3ミリオンに認定されました。2月3日発売のGLAY「Winter, again」は、第41回日本レコード大賞を受けています。

宇多田ヒカルさんのシングル「First Love」は4月28日発売で、TBS系ドラマ「魔女の条件」の主題歌でした。9月9日にはモーニング娘。の「LOVEマシーン」が発売され、作曲したつんくさんが日本レコード大賞の作曲賞を受けました。曲の詳しい話はLOVEマシーンの図鑑ページにまとめています。

目次へ戻る

90年代にミリオンヒットが続いた背景

90年代にミリオンヒットが続いた理由は、1つではありません。日本レコード協会の記念誌などの記録からは、ドラマとのタイアップ、CDの普及、カラオケ、プロデューサーの活躍が重なったことが分かります。

ドラマ主題歌のタイアップが定番に

日本レコード協会の60周年記念誌は、90年代のタイアップを、ドラマの主題歌やCMのイメージソングがシングルのヒットを生む仕組みだったと解説しています。音楽評論家の反畑誠一さんは、1991年の「ラブ・ストーリーは突然に」と「SAY YES」の大ヒットで「タイアップという名のメガヒットの方程式」が生まれたと分析しました。

同じ記念誌は、90年代のミリオンセラーを支えたのは、10代後半〜20代前半の「団塊ジュニア」と呼ばれる約800万人だったという分析も紹介しています。そのため、ほかの世代にはヒット曲を知らない人も多かったとされます。

8cmシングルCDと音楽ソフトの最盛期

当時のシングルの多くは、「短冊CD」とも呼ばれる8cmのCDでした。日本レコード協会の統計では、8cm CDの生産金額は1996年の約1,044億円が最も多く、音楽ソフト全体の生産金額は1998年の約6,075億円が最高です。反畑さんは、CDやMDプレーヤーの普及も売上が急に伸びた土台になったと指摘しています。

1998年12月9日発売の宇多田ヒカルさんのデビュー曲「Automatic」は、8cm盤と12cm盤が同じ日に出ました。2000年には12cmシングルの生産数量が8cm CDを上回ります。当時の形は8cmシングルCDの図鑑ページで確かめられます。

通信カラオケとカラオケボックスの広がり

全国カラオケ事業者協会の年表によると、通信カラオケは1992年に登場し、1995年には各メーカーの商品が出そろいました。この年の通信カラオケの出荷台数は10万4,000台で、全出荷の約80%を占めています。

同協会がレジャー白書などをもとにまとめたカラオケ白書の1995年以降の数字では、カラオケの参加人口は1995年の5,850万人、カラオケボックスのルーム数は1996年の160,680室が最も多くなっています。シングルのミリオンが最も多かった1995〜1996年と重なる時期です。カラオケボックスの図鑑ページもあわせてどうぞ。

小室哲哉などプロデューサーの時代

日本作曲家協会の記録によると、小室哲哉さんが手がけた曲は、1995年のtrfから1998年のglobeまで4年続けて日本レコード大賞を受けました。1994年7月21日発売の篠原涼子 with t.komuro「恋しさと せつなさと 心強さと」も、アニメ映画「ストリート・ファイターII」の主題歌としてヒットしています。

反畑さんは、GLAYやLUNA SEA、L'Arc〜en〜Cielなどのバンドもブームを起こしたと記念誌でまとめました。1999年7月31日には、GLAYが幕張で20万人を集めるライブを開きました。

目次へ戻る

90年代のヒット曲を今楽しむには

90年代のヒット曲は、今もカラオケや配信で楽しまれています。発売から30年近くたって、若い世代に広がった曲もあります。

カラオケで今も歌われる90年代の曲

第一興商がDAMでの2025年1月1日〜11月15日の歌唱回数をもとに発表した年間ランキングでは、高橋洋子さんの「残酷な天使のテーゼ」が総合3位でした。1995年10月25日発売で、テレビ東京系アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング・テーマです。

同じランキングの総合50位までには、スピッツ「チェリー」の15位、WANDS「世界が終るまでは…」の32位なども入っています。作品については新世紀エヴァンゲリオンの図鑑ページで振り返れます。

ドラマやダンス動画で再ヒットした曲

広瀬香美さんの「ロマンスの神様」は、DAMの2025年「リバイバル平成ソング」で2位に入りました。第一興商は、曲に合わせた創作ダンスの動画がSNSで広がり、若い世代の間で話題になったと説明しています。

宇多田ヒカルさんの「First Love」は、2022年11月に配信が始まったNetflixシリーズ「First Love 初恋」をきっかけに、各国のストリーミングで再生が伸びました。Billboard JAPANによると、12月13日時点のApple Musicのデイリーランキングで、台湾1位、日本3位などに入っています。

配信で探すときは発売日と版に注意

配信サービスの年代別の分け方は、発売年と一致しないことがあります。Spotifyが2023年上半期の再生数で発表した年代別ランキングでは、1992年発売の米米CLUB「君がいるだけで」が80年代の曲に入っていました。

米米CLUBの「浪漫飛行」のように、同じ曲名で2種類のシングルが記録されている曲もあります。公式の発売日と収録の版を確かめてから選ぶと安心です。CHAGE and ASKA(当時の表記はCHAGE & ASKA)は2024年8月に全楽曲の配信解禁を発表し、モーニング娘。を含むハロー!プロジェクトも2026年2月から楽曲を全面的に解禁しました。

目次へ戻る

まとめ

1990年代のヒット曲は、1990年の「おどるポンポコリン」に続いて、1991年の「SAY YES」などドラマの主題歌がミリオンを重ね、小室哲哉さんのプロデュース曲やバンドの曲を経て、1999年の「だんご3兄弟」や「First Love」へと移り変わりました。タイアップやCD、カラオケの広がりが重なり、ミリオンセラーが次々に生まれています。

曲の年は発売日で、枚数はどの記録の数字かを添えて確かめると、会話でも間違えません。気になった曲は、図鑑ページで当時の暮らしとあわせて思い出してみてください。

目次へ戻る

参考資料

個別の品やサービスの発売時期は、各図鑑ページで項目ごとに出典を示します。

目次へ戻る