平成のヒット商品を比べる前に知りたい物差し

平成のヒット商品を正しく比べるには、何をもってヒットとするか、いつの年で数えるか、売れた数がどの範囲かの3つをそろえることが大切です。物差しがそろわないと、同じ商品でも年や数字が資料ごとに違って見えます。

ヒットは売れた数と世の中への影響で決まる

ヒットの物差しは、売れた数と、世の中への影響の2つです。たとえばバンダイは、たまごっちが出たころの玩具業界では「100万個売れれば大ヒット」と言われていたと説明しています。

一方、日経トレンディの「ヒット商品ベスト30」は、売れ行き、新しさ、影響力の3つで順位を決める仕組みです。番付やランキングには人物や出来事も入るため、この記事では公式の資料にある売れた数と、番付での評価を分けて紹介します。

発売した年と流行った年はずれることがある

平成のヒット商品には、発売した年と流行った年がずれているものが少なくありません。ユニクロのフリースは1994年に売り始め、1,900円のフリースが話題になったのは1998年10月でした。

妖怪ウォッチもゲームの発売は2013年7月で、関連のおもちゃが大ヒットしたのは2014年です。この記事では発売した年を基本にし、流行った年は本文で書き添えています。

売れた数は国内か世界かで意味が変わる

発売元が公表する売れた数は、国内か世界か、1つの商品かシリーズ全体か、出荷か販売かが商品ごとに違います。たまごっちの「発売から8か月で1,000万個」と「シリーズ累計1億個」は、範囲も時点もまったく別の数字です。

会話や資料で数字を使うときは、どの範囲の、いつ時点の数字かを添えると誤解を防げます。この記事でも数字には範囲と時点を添え、公式の数字を載せられない商品は、数字を書かずに紹介します。

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平成初期(1989〜1998年ごろ)のヒット商品

平成初期は、ゲームボーイやたまごっちのように持ち歩いて遊ぶ商品と、カルピスウォーターのように手軽に買える飲み物が大きく売れた時期です。バブルの終わりからその崩壊後にかけて景気が大きく変わる中でも、新しい遊び方や楽しみ方を示した商品はヒットしました。

このほかにも、平成初期には次のような商品がヒットしました。

平成初期(1989〜1998年ごろ)のヒット商品の一覧

表が画面に収まらないときは、左右にスクロールできます。キーボードでは表を選び、左右の矢印キーで動かせます。

平成初期(1989〜1998年ごろ)のヒット商品の一覧
発売年商品発売元公表された売れた数
1989年お〜いお茶伊藤園累計400億本超
1995年プリント倶楽部セガ・アトラス約22,000台
1995年Windows 95 日本語版マイクロソフト—
1997年ハイパーヨーヨーバンダイ2年間で約2,700万個

お〜いお茶の数字は2024年3月の伊藤園の資料にある累計、プリント倶楽部はプリントシール機メーカーのフリューが発表した1997年6月末までの出荷台数、ハイパーヨーヨーは世界での2年間の販売数です。—は売れた数を載せていない商品です。Windows 95は、インターネットが一般に広がる大きなきっかけになったといわれています。

ゲームボーイ|1989年発売の携帯ゲーム機

ゲームボーイは、平成元年の1989年4月21日に任天堂が日本で発売した携帯型のゲーム機です。シリーズは日本での発売から約11年2か月後の2000年6月に1億台に達しました。

任天堂の2009年の発表では、ゲームボーイシリーズの世界での累計販売台数は1億1,800万台です。持ち歩いて遊べるゲーム機は、平成初期を代表するヒット商品の一つです。ゲームボーイの図鑑ページで、当時の本体の特徴を確かめられます。

カルピスウォーター|1991年に計画の5倍

カルピスウォーターは、1991年2月に「いつでも、どこでも飲める『カルピス』」として発売されました。年間400万箱の計画を6月末に達成し、12月末には計画の5倍以上の2,050万箱を超えました。

翌年はさらに2,450万箱を売っています。2021年にはブランド30周年を記念して、限定の復刻商品も発売されています。カルピスウォーターの図鑑ページもあわせてどうぞ。

たまごっちとポケモン|1996年に誕生

1996年は、平成を代表する2つのヒットが生まれた年です。2月27日にゲームボーイ用ソフト「ポケットモンスター 赤・緑」が発売され、11月23日にはバンダイが携帯型のデジタルペット「たまごっち」を発売しました。

たまごっちは発売から8か月で国内外累計1,000万個を売り、買えないという問い合わせが1日1万件を超えるほどでした。ポケモンは、捕まえたポケモンを友だちと交換する遊びが広がり、1997年にはテレビアニメも始まりました。詳しくはたまごっちとポケットモンスター 赤・緑の図鑑ページにまとめています。

ユニクロのフリース|1998年に1,900円で話題

ユニクロのフリースは1994年に売り始めた商品で、1998年10月に1,900円のフリースが話題を呼びました。同じ年の11月には、ユニクロが東京の原宿に店を出しています。

ユニクロは、アウトドア用の服だったフリースを、誰もが気軽に着られるカジュアルな服として売ったと説明しています。話題になった年と値段は、ユニクロの公式の沿革に載っている情報です。ユニクロのフリースの図鑑ページで、見分け方や1998年のブームの流れを確かめられます。

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平成中期(1999〜2008年ごろ)のヒット商品

平成中期は、携帯電話でインターネットが使えるようになり、ゲーム機や飲み物にも新しい使い方や味が次々に登場した時期です。iモード、PlayStation 2、生茶、ニンテンドーDSは、それぞれの分野を代表するヒットです。

このほかにも、平成中期には次のような商品がヒットしました。

平成中期(1999〜2008年ごろ)のヒット商品の一覧

表が画面に収まらないときは、左右にスクロールできます。キーボードでは表を選び、左右の矢印キーで動かせます。

平成中期(1999〜2008年ごろ)のヒット商品の一覧
発売年商品発売元公表された売れた数
2000年カメラ付き携帯電話J-フォン—
2003年ヒートテックユニクロ世界累計約10億枚
2003年ヘルシア緑茶花王—
2006年Wii任天堂世界累計1億163万台
2007年フリクションボールパイロットシリーズ世界累計50億本

ヒートテックは2017年の販売見込みを含む2003年からの累計、フリクションはシリーズ全体の2025年12月末時点の数字です。フリクションボールは2006年にヨーロッパで先に発売され、日本では2007年から売られています。—は売れた数を載せていない商品です。

iモード|1999年に携帯でネットが使える

iモードは、NTTドコモが1999年2月22日に始めた、携帯電話からインターネットやメールを使えるサービスです。始まってから3か月で20万契約を超え、その後も毎週3万契約ずつ増えたとドコモは記録しています。

銀行の手続きやチケットの予約、ニュースや天気予報まで携帯で済むようになり、他社も同じようなサービスで続きました。そのiモードも、2026年3月31日にサービスを終えています。iモードの図鑑ページで、当時の画面や使われ方をたどれます。

PlayStation 2|DVDも見られるゲーム機

PlayStation 2は、2000年3月4日に日本で発売されたゲーム機です。ゲームだけでなくDVDの再生も楽しめる点が特徴でした。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントによると、全世界で店に出荷した台数(セルイン)の累計は、2012年3月31日時点で1億6,000万台以上です。修理などのアフターサービスはすでに終わっていて、最後の機種の受付は2018年8月31日まででした。PlayStation 2の図鑑ページもあわせてどうぞ。

キリン生茶|2000年に緑茶ブームを起こした

キリン生茶は、2000年3月21日に全国で発売された緑茶飲料です。キリンは、2000年の清涼飲料市場で最大のヒット商品と言われたと振り返っています。

1990年代の緑茶飲料の多くが苦みや渋みを強調していたことへの疑問から、うまみやあまみを感じられるお茶として作られました。生茶のヒットを受けて各社が緑茶飲料を次々に出し、緑茶ブームが起きています。キリン生茶の図鑑ページで、発売当時のボトルの特徴を確かめられます。

ニンテンドーDSと脳トレ|史上最速の1億台

ニンテンドーDSシリーズは2004年に発売され、2009年3月6日時点で全世界1億台を超えました。任天堂はこれを、家庭用ゲーム機の歴史で最も速いペースだと発表しています。

DSの代表的なヒットソフトが、2005年5月に出た「脳を鍛える大人のDSトレーニング」です。東北大学の川島隆太教授が監修したソフトで、2016年9月末までに1,901万本が売れました。脳トレの図鑑ページもあわせてどうぞ。

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平成後期(2009〜2019年)のヒット商品

平成後期は、スマホのアプリやゲームから大きなヒットが生まれた時期です。LINEやPokémon GOのようにスマホで使うサービスが一気に広がり、ゲームでは妖怪ウォッチが大ヒットし、ゲーム機ではNintendo Switchが任天堂で最も売れた機種になりました。

このほかにも、平成後期には次のような商品がヒットしました。

平成後期(2009〜2019年)のヒット商品の一覧

表が画面に収まらないときは、左右にスクロールできます。キーボードでは表を選び、左右の矢印キーで動かせます。

平成後期(2009〜2019年)のヒット商品の一覧
発売年商品発売元公表された売れた数
2009年アタックNeo花王—
2009年キリンフリーキリンビール250万ケース
2011年ニンテンドー3DS任天堂世界累計7,594万台

アタックNeoは、すすぎ1回から始めるエコをうたった濃縮液体洗剤です。キリンフリーはノンアルコールのビールテイスト飲料で、2009年11月の決算資料で4月の発売からの販売が250万ケースと発表され、2017年に出荷を終えています。—は売れた数を載せていない商品です。

LINE|2011年に始まった無料通話とスタンプ

LINEは2011年6月23日に始まり、同じ年の10月に無料通話とスタンプの機能が加わりました。サービス開始から3年の2014年には、LINEと関連アプリを合わせた世界のダウンロード数が10億件を超えています。

総務省の白書は、スマホが広がってから、携帯でのやり取りが写真や動画を中心にしたものへ変わったと説明しています。文字のメールにスタンプが加わり、気持ちを絵で伝えるやり取りが広がりました。LINEの図鑑ページもあわせてどうぞ。

妖怪ウォッチ|2014年に関連商品が大ヒット

妖怪ウォッチは、レベルファイブが2013年7月11日に発売したニンテンドー3DS用のゲームから始まりました。翌2014年には、バンダイの関連商品が大ヒットしています。

バンダイナムコによると、関連商品の2014年4〜9月の売上は225億円で、1年間では400億円を見込んでいました。日経MJの2014年のヒット商品番付では、横綱に選ばれています。妖怪ウォッチの図鑑ページで、当時の遊び方を確かめられます。

Pokémon GO|8週間で5億ダウンロード

Pokémon GOは、日本では2016年7月22日に配信が始まったスマホ向けのゲームです。位置情報を使い、現実の街を歩きながらポケモンを集めたり戦わせたりして遊びます。

世界で配信が始まった2016年7月6日から8週間で、世界の累計ダウンロード数は5億を超えました。2016年の日経MJのヒット商品番付でも横綱に選ばれ、1996年に生まれたポケモンが20年後にスマホで再び大ヒットしました。Pokémon GOの図鑑ページもあわせてどうぞ。

Nintendo Switch|2017年に発売

Nintendo Switchは、2017年3月3日に任天堂が発売した、持ち運べる家庭用のテレビゲーム機です。発売時の希望小売価格は29,980円(税別)で、約300gの本体に6.2インチの画面を備えていました。

任天堂の資料では、2026年6月末時点の世界での累計販売数は1億5,659万台です。2017年のSMBCコンサルティングのヒット商品番付では東の大関に選ばれ、今は後継機のNintendo Switch 2も出ています。

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平成のヒット商品の今と番付での評価

平成のヒット商品は、その年の番付での評価と今の姿をあわせて見ると、時代の空気まで読み取れるはずです。販売を終えた商品がある一方で、たまごっちのように平成レトロのブームで再び売れている商品もあります。

番付には人物や出来事も選ばれる

ヒット商品番付は相撲の番付の形で、その年の商品だけでなく人物や出来事も選ばれます。SMBCコンサルティングの番付では1993年の東の横綱が「Jリーグ」、日経MJの2018年の番付では横綱が「安室奈美恵」でした。

番付からは景気の様子も見えてきます。SMBCコンサルティングの番付では、1998年と2008年は東西とも横綱がいませんでした。住友商事グローバルリサーチのエコノミストは、1998年の横綱不在が個人消費の弱さを物語っていると分析しています。

今も買える商品と販売を終えた商品

平成のヒット商品の今の姿は、今も買えるものと、販売やサービスを終えたものの2通りです。お〜いお茶、カルピスウォーター、生茶、ヒートテック、フリクションは今も続いていて、たまごっちも初代の見た目を受け継いだ商品が売られています。

反対に、iモードは2026年3月31日に終わり、キリンフリーは2017年に出荷を終えました。PlayStation 2も修理などのアフターサービスを終えています。懐かしい商品を買い直したいときは、発売元の今のページで、続いているかどうかを先に確かめると安心です。

平成のヒット商品が再び人気に

平成のヒット商品の中には、令和になって再び人気を集めているものがあります。バンダイは、たまごっちの2024年以降を、平成レトロや平成女児の流行が追い風になった「第四次ブーム」と位置づけています。

本体と関連グッズを合わせたたまごっちの世界での売上(ゲームを除く)は、2019年と比べて5年で約7倍になりました。2025年にはプリクラが30周年、2026年にはポケモンが30周年を迎え、平成生まれのヒット商品の周年企画が続いています。

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まとめ

平成のヒット商品は、初期のゲームボーイやたまごっち、中期のiモードやPlayStation 2、後期のLINEやNintendo Switchと、通信とゲームの変化とともに移り変わりました。景気が大きく変わった30年の中でも、新しい遊び方や便利さを示した商品は大きく売れています。

数字を使うときは、国内か世界か、いつ時点かを添えると間違えません。気になった商品は図鑑ページで発売当時の姿を確かめ、今も買えるかどうかは発売元の公式ページで見てみてください。

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参考資料

個別の品やサービスの発売時期は、各図鑑ページで項目ごとに出典を示します。

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